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金山巨石群の奇跡 縄文の巨石天文台が5000年の時を超えて甦る

金山巨石群の奇跡
縄文の巨石天文台が5000年の時を超えて甦る

小林由来、徳田紫穂、ハリエット・ナツヤマ

2025年6月21日発売 定価:3,000円+税 402ページ ISBN: 978-4-908830-26-6 B5判変形 並製

装丁:松沢浩治(ダグハウス)

印刷製本:シナノ書籍印刷株式会社

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金山巨石群の奇跡 縄文の巨石天文台が5000年の時を超えて甦る

小林由来、徳田紫穂、ハリエット・ナツヤマ

縄文人がつくった天文台か? 世界の天文学者も注目する飛騨金山の謎の巨石群。その調査の全容をまとめた書籍『金山巨石群の奇跡』がついに完成! 日英併記で世界へ発信! 

変化に富んだ山並みと清流に恵まれ、気候も比較的温暖な飛騨地方は、縄文時代から住みやすい土地だったらしく、縄文遺跡も各地で発見されています。

そんな飛騨地方で、古くから街道の要所として知られてきたのがいま飛騨金山と呼ばれる小さな町。本書『金山巨石群の奇跡』の物語は、この町の山間にある森の中から始まります。

はじまりは巨石との偶然の出会いから

著者のひとり、地元金山生まれの小林由来さんは、今から27年ほど前、偶然この森の中で6m級の巨石に刻まれた謎の痕跡を発見します。

そして、「これは古代人が残した何らかの記号ではないか?! ここはイギリスのストーンヘンジに似た巨石遺跡かもしれない」と直感します。

現代アートの作家でもある小林さんは、古代の巨石遺跡とそこに古代人が残したと思われる記号に以前から強い興味を抱いていたのです。

この発見をきっかけに、小林さんと、同時期に小林さんが知り合ったカメラマンの徳田紫穂さんがボランティアで一帯にある巨石群の調査をはじめるわけですが、

はじめてみると、それまで誰もが(調査した二人も含め)想像していなかったような驚きの事実が次々に明らかになっていったのです。

どうやらこの巨石群では縄文時代に精密な太陽観測が行われていたらしい、しかも閏年の観測まで‥‥‥

と、物語は私たちの予想をはるかに超える展開を見せます。なにしろ、古代、縄文時代に巨石を利用した太陽天文台のようなものが存在し、

その巨石には暦を読み取る仕組みまで織り込まれていたらしい‥‥‥というのですから、驚くなというほうが無理です。

「本当ですか?!」

最初はそう聞いてしまった私たち編集部員ですが、本づくりが進むにつれ、「知れば知るほど不思議な気持ちになってきますね」というコトバに感想は変わりました。

すごい、おもしろい、けれど、不思議、なんでそんなことがあの時代に?‥‥‥みなさんもきっと、こんなふうに首をひねりながら、驚きの発見に胸躍ること必至です。

著者は、謎解き調査チームの隊長である小林由来さんと優秀なワトソン役である徳田紫穂さん、そして、宇宙物理学者のハリエット・ナツヤマ博士。

ナツヤマ博士はハワイ生まれの日系アメリカ人で、京都大学で理学博士号をとり、その後、カリフォルニアの名のある理学研究所で長く研究をされていました。

そんなアカデミズムの世界で数学と宇宙物理学の知見を鍛え上げてきた本物の学者であるナツヤマ博士が、あるとき古代日本の天文学に興味をもったことから、自らの意志で金山巨石群を訪れ、この発見の確かさを確信、以後調査チームに加わることになりました。

ナツヤマ博士のほか、理学の博士号をもつ世界の天文学者や考古学者も金山巨石群には注目していると聞きます。

小林さんが巨石に残る痕跡を発見した当時は鬱蒼とした森だったこの場所、金山巨石群はいまや世界中から研究者も訪れる場所になりました。

ナツヤマ博士はこう語っています。

「27年間の太陽観測記録とテータの分析により、金山太陽カレンダーは現代の太陽暦(グレゴリオ暦)よりも正確な暦であることが示されました。

現代においても正確に時を刻み続ける巨石太陽カレンダーは、まさに驚異的な発見です」(本書「刊行にあたって」より)

現代人の想像を超える古代人の知性と発想力に緻密な検証によって迫り、これまで知られてこなかった“まったく新しい古代像”を明らかにしたのがこの調査です。

その全貌をおさめた本書『金山巨石群の奇跡』は世界中の読者に読んでもらえるよう日英を完全併記しました。

巨石に秘められた知られざる古代の謎を追った知的冒険物語とも呼びたくなる本書。ぜひ楽しみながら読んでいただけたらと思います。

 

目次情報など

刊行にあたって
はじめに
巨石に刻まれた“謎の痕跡”との運命的な出会いから27年。
いま確信をもってみなさんに伝えたいこと。

Part 1 巨石の眠る縄文の森へ
1-1 遭遇~先史時代からの長い眠りから目覚めた“縄文”巨石群
1-2 発見~巨石に残されていた太陽からのメッセージ
コラム1 なぜ彼らは「山の中」を選んだのか?
コラム2 古代人ならではの発想
1-3 不可解な巨石配列の暗示 ~浮かび上がる古代金山人の太陽観測法
コラム3 暦の“進化”とは?
コラム4 季節感を的確に映し出す〈金山太陽カレンダー)
Q&A 〈金山太陽カレンダー〉に及ぼす地震の影響について

Part 2 洞窟の中の宝さがし
2-1 「痕跡」の謎を追って~地中に眠る“太陽スポット光観測所”の発見
2-2 洞窟に秘められていた“光の暦” ~閏年観測も可能にする太陽スポット光観測システムの解明
Q&A 5000年前の太陽位置について

Part 3 金山太陽カレンダーの設計図
I 巨石群を展望する
II 巨石群から太陽を観測する
III 巨石群から北極星ポラリスと北斗七星を観測する
IV 金山太陽カレンダーの独創的な仕組み

Part 4 “現代の古代人”からのいくつかの伝言
4-1 縄文天文学を世界へ〜グローバルUTCカレンダー
4-2 古代という未知への旅
4-3 「遊び」は古代人の文化を読み解くキーワード
4-4 自由を尊重する次の新しい波へ ~在野の研究者として古代の人々から学んだこと
4-5 現在の取り組み、そしてこれから
コラム5 金山巨石群に“陽”をあてた影の立役者たち~大規模環境整備の舞台裏で・・

Part 5 付篇
5-1 スカイウォッチャーのための基礎天文学
5-2 金山太陽カレンダーの円形システム
5-3 古代エジプト遺跡に関する新説
5-4 古地磁気学による金山巨石群配列の解明
5-5 縄文時代と巨石群
5-6 国内外での研究発表
5-7 巨石天文学の世界へようこそ

謝辞
参考文献

著者プロフィール

小林由来 徳田紫穂 ハリエット・ナツヤマ 写真
小林由来 徳田紫穂 ハリエット・ナツヤマ

小林由来 Yoshiki Kobayashi

岐阜県金山町生まれ。画家。1997年、故郷の山中で偶然遭遇した巨石に残る謎の痕跡に“古代人が残した記号表現”の気配を直感し、独自の観測調査を開始。巨石群に織り込まれた古代の太陽暦を克明に解明したその成果は「まさに驚異的な発見」(共著者の天文学者、ハリエット・ナツヤマ氏)と評され、現在の金山巨石群には世界各国から専門家が訪れる。本書は27年におよぶ調査研究の全貌を収めた待望の一冊。

徳田紫穂 Shiho Tokuda

愛知県名古屋市生まれ。写真家。1997年、後に巨石群調査の中心となる場所で巨石と太陽が交錯する一瞬の光景を写真に収める。この“運命的な一瞬”との出会いをきっかけに巨石天文学調査に加わる。現在は調査チームの広報役も担い、本書では執筆、翻訳、写真、資料制作を担当。

ハリエット・ナツヤマ(理学博士)  Harriet H. Natsuyama, D.Sc.

米国ハワイ州生まれ。宇宙物理学者。元カリフォルニア州立大学教授。古代日本の天文学への興味から2010年春に初めて金山巨石群を訪れる。小林と徳田による巨石天文学調査を天文学者の見地から、「日本列島の森の中に眠っていた驚くべき人類の痕跡を掘り起こした」と高く評価。本書では執筆のほか、科学監修を担当。

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