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「美」はただ在るのか、現れるのか?
著者情報

「美」はただ在るのか、現れるのか?

12月の新刊『新版 真美識の発見~虚実の間へ』の著者は、現代美術のアーティストとしても、美術教育の専門家としても第一線で活躍されている井坂健一郎氏(ふだんは井坂先生と呼ばせていただいておりますので以後はその呼び名で)です。
作品の展示会は数えきれないほど開催されている井坂先生ですが、書店に並ぶ書籍としては本書が初!という、そんな光栄に預かったわが編集部。振り返れば、編集部の事務所が銀座にあった頃(二年ほど前ですね)から本書の制作は始まっていたことを思い出します。

その頃、打ち合わせのため、月に何度か事務所にお越しいただいていた井坂先生、見た目は極めて穏やかな(褒めてます)さすが教育者という感じだったのですが、しか~し、やっぱり根はアーティスト笑。あるとき、お会いするなりこんなことをつぶやいたのです。「ここに来る途中にある飲料の自動販売機がちょっとヘンなんですよね、ええ」

「といいますと?」
「その自販機を置いてあるところががですね」
「はい‥?」
「地面じゃないんですよ」
「はい‥‥?」
「ですから、ちょっと高いところにあるんですね」
「高い‥‥‥?」
「壁に埋め込まれているというか、ええ、子どもだったらボタンが押せないんじゃないかな、というぐらい高いところにあるので」
「ホントですか?」
「それで、その自販機の写真を撮ってきましてね‥‥‥」と、言いながら、なんだか自慢げに取り出したiphoneの写真には、たしかに‥‥‥。

「これはどうしてこういうことになったでしょうね?」
「わかりません、私にも」と即答された井坂先生。
しかし、その短い言葉とは裏腹に、なぜかうれしそうにも見えた井坂先生の表情が忘れられなかったのですが、ようやくその〝謎の自販機〟をみなさまにお披露目できる機会が訪れて、大変うれしく思っております。

よろしければ、本書のp.173をご覧ください。そう、それです。しっかりとその「謎の自販機」が収められておりますね。ちなみに作品名は「手が届かない日常」。井坂先生、ユーモアのセンスもおありです。

それにしてもあのような、ふつうなら間違っても美術作品なんかになりそうもない自販機が「井坂先生の内なる声」と「響きあって」しまうとは‥‥‥さすが、アーティスト! 「たしかに美は現れる!」現場からのリポートでした笑。(次回もお楽しみに笑)

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